ススメ!シンデレラロ→ド(クラリス編)第4話

白坂小梅
夜の学校はね……昼間隠れてた子たちの遊び場なんだよ……。みんながいなくなって、静かになった場所で……ひっそりと……。
白坂小梅
みんな……寂しいから、遊び相手が欲しいの……。だから……夜に忘れ物を取りに来たり、肝試しをしに来たりしちゃ、駄目だよ……?
白坂小梅
後ろから声が聞こえて、もし振り返ったら…… ア ソ ン デ、って……
神崎蘭子
ストーーップ!!止めてー!終わりー!もう終わりにしようよぉ!
少年
えーっ、ここからなのに!もっと聞きたいよー。
安斎都
ま、まぁまぁ……小梅ちゃんの怪談話は恐怖度が高いですからね。もう少しお手柔らかに……たとえば、学校の七不思議などはいかがでしょう?
安斎都
この学校のものを調査したところ、こんな噂を聞いたんです。放課後の、誰もいない音楽室で、音がすると……。
神崎蘭子
ふ、ふんっ。ありふれた偽典よな!
クラリス
放課後の音楽室、ですか……。
安斎都
ええ、なんでも昔……発表会の前に事故に遭ってしまった子の幽霊なんだとか……。
安斎都
ピアノを弾けなかったという執念が怨念となり、伸びてしまった爪で蓋を開けようとする音が響いているんです……カリカリ……カリカリ……と。
蘭子・少女
や、やだー ひっ……!
少女
こわいよお……クラリスせんせえ……っ!それ、相談したかったの……音楽室なんて行けないって……。でも歌……歌いたいよぉ……。
クラリス
……では、私が真実を突き止めます。真偽がはっきりすれば、恐れる必要もありませんわ。ここはクラリス先生たちに任せてくださいね。
安斎都
フッフッフ……捜査とあれば、私が出ないわけにはいきません!この!探偵アイドル安斎都が、事件の本質は単純なものだと証明してみせましょう!
神崎蘭子
わ、我も往こう!魔の者なれば、魔王たる我が言葉で冥府へと還るであろうからな!ゆえに案ずるでないぞ、人の子よ!
白坂小梅
ふふふ……私も、行くよ……♪
少女
みんな……ありがと……!

音楽室

クラリス
さて……その音というのは、一体……

カリ……カリカリ、カリ……

蘭子・都
!!!!
安斎都
この音は……まさか、本当に幽霊が……!?じ、実体のない犯人もバリツでどうにかなるものでしょうか!?
神崎蘭子
おおおお落ち着いて……!まずは対話を試みましょう。 そ、そうすれば……!
白坂小梅
あ……犯人、みーつけた……。
蘭子・都
どこーっ!?どこですかっ!?
クラリス
蓋の上に、置物が……。軽いものですから、隙間風で小刻みに動いていたんでしょう。その音かと。
神崎蘭子
な、なんだぁ……。
安斎都
は……はっはっは!さすがクラリスさんたちです!もちろん、私も目星はつけていましたとも!本質は単純なものであるとねっ!
少女
置物……?うそだぁ、だって幽霊見たって子もいるもん……。
安斎都
そう簡単には納得いただけませんか……。よっぽど怖かったんでしょうね、この噂が。
クラリス
ええ……ですがこのままでは、彼女の不安は募るばかり。 なんとかしたいのですけれど……。
クラリス
……そうですわ!皆さん、少しだけ……『お芝居』をしてみませんか?
白坂小梅
ヒ……キ、タ……イ……。
安斎都
た、大変ですっ!小梅ちゃんが、音楽室に棲まう霊に取り憑かれてしまいました……!
神崎蘭子
クッ……我が声さえ、同胞の耳に届かぬ……!幾星霜の執念が、心すらも塗り替えてしまったというのか!
少女
う、うそ……小梅おねーちゃん……?そんなあ……っ!
クラリス
大丈夫、心配いりませんよ。ここは私たちにお任せくださいまし!
安斎都
そうですねっ!なんたってここには、名探偵と魔王とシスターが 会しているんですからっ!
少女
よくわかんないけど、みんな……すごい人だったんだぁ……!がんばれーっ!!
クラリス
ありがとうございます。その声援が、私たちの力となります。さあ……彷徨える少女を、神のもとへと導きましょう。ともに、祈りを……!
神崎蘭子
フッ、まさか旧き友の使いと肩を並べる日が来るとはな。我らが纏いし光と闇が交われば、この地に囚われし哀れなる魂も、解放できよう!
白坂小梅
アア……ア……!モウ、イチド……!
安斎都
彼女の望みは、やはり……!クラリスさん、蘭子さん!私がピアノの蓋を開けます。彼女が演奏している間に、魂を救い出してください!
クラリス・蘭子
はいっ!うむ!
クラリス
道を見失った、哀れな魂よ。貴方の声を、貴方の心の音色をお聴かせくださいませ。そして、その《真名》を
白坂小梅
あれ……私……?
少女
小梅おねーちゃん!よかったあ、元に戻ったあ……あの子……幽霊の子は……?どうなったの……?
クラリス
きっと、あるべきところに帰ることができたと思います。友人や、家族……皆がいるところへ。
安斎都
ふう……これにて一件落着、ですねっ!学校の七不思議のひとつ、音楽室の怪!解決ですっ!
少女
うんっ!みんな、ありがとー!これでもう、怖くないよっ!
クラリス
では……遠くに旅立った彼女にも届くように、元気な声で歌いましょうね。

その後、明るい歌声が音楽室を優しく包み込んだ……

白坂小梅
……うん、じゃあ……私はもう……行くね。今度は驚かしちゃ、駄目だよ……。ふふっ ……♪