ススメ!シンデレラロ→ド(クラリス編)第5話
校庭
- 矢口美羽
- さくらちゃんターッチ! ふぅ、ふぅ……よおし……みうさぎ、脱兎のごとく! ダーーッ!ッシュ!
- 村松さくら
- わあ〜っ!次はわたしがオニかあ。ふふっ♪負けないよ〜っ!
- 栗原ネネ
- 撮影前だっていうのに、いっぱい遊んじゃいましたね。でも……みんなの笑顔、とっても素敵です。
- 梅木音葉
- はい……。さまざまな音が重なり合って、ひとつになる……。絆を深めることで、より美しい調べを奏でられるでしょう。
- 教師
- ……。
- 子どもたち
- クラリス先生、次は何してあそぶのー?あたしね、あやとりがいいー!
- クラリス
- ええ、ではそうしましょうか。職員室から紐を借りて……あら?
- クラリス
- こんにちは、先生。ちょうどいいところに。一緒に遊んでいかれませんか?
- 教師
- あっ……そうですね……。
- クラリス
- 浮かない顔ですね……どうかされました?何かお悩みがあるのでしたら、お話いただけませんか?
- 教師
- いえ、悩み……というほどではないんですが。でも、そうですね……一緒に歩きながらでも、よければ。
廊下
- 子どもたち
- あっ、クラリス先生だー!ぼくもお外で遊ぶー!待ってるねー!
- クラリス
- ええ、また後ほど。……ふふ、本当に元気な子が多いですわね。
- 教師
- はい。でもそれが見られるのは、今年まで……。この学校は来年閉校してしまいますから。生徒数も増えませんし、校舎も古いですし……仕方ないですよね。
- 教師
- それでも、子どもたちにとって大切な場所です。だから、みんなに最高の思い出を作ってあげたくて……番組のほうに、応募させていただいたんです。
- 教師
- まだ私は、教師として未熟ですし……クラリスさんは子どもたちからも人気ですから、是非と思って。押しつけがましくて恐縮ですが、お願いしますね、クラリス先生。
- クラリス
- ……確かに、今の私は先生と名乗っていますが、子どもたちにとっての先生は、貴方ですよ。
- 子どもたち
- あっ、先生ー!クラリス先生も一緒? どうしたのー?
- クラリス
- 先生に校内を案内してもらっていたんですよ。そうですわ……皆さん、先生のことは好きですか?
- 子どもたち
- うん!大好きー!やさしいし、いっぱいお話聞いてくれるし!
- 子どもたち
- 今日も一緒にお歌、歌いたい!ピアノだけなんてもったいないよー!一緒に歌お〜!
- 教師
- ……!
- クラリス
- ふふっ……あれが、子どもたちの気持ちですわ。……先生。 貴方あってこその子どもたちだと、思いませんか?
- クラリス
- 「最高の思い出」には、貴方も含まれていなければいけませんわ。この子たちは、貴方と一緒に思い出を作りたいはずですから。
- クラリス
- それに、来年で学校が終わってしまうとしても、貴方と子どもたちが結んだ絆は、きっと終わりません。一緒にいる時間の尊さを感じられることが、その証です。
- クラリス
- この後の撮影ですが……伴奏は、私にお任せを。もちろん私も歌わせていただきますが、貴方も子どもたちの隣で、一緒に歌ってくださいませんか?
- クラリス
- スタッフさんには、私のほうからお願いしておきます。……いかがでしょうか。
- 教師
- クラリスさん……。ありがとうございます……!
- 村松さくら
- あっ、先生!おかえりなさあい!……あれぇ?クラリスさんは?
校舎前
- 教師
- クラリスさんは、スタッフさんのところへ行きました。それで……すみません、みなさん。ちょっとお願いしたいことがあるんですが……。
- 梅木音葉
- お願いしたいこと……?
体育館
- 梅木音葉
- ……はい、とてものびのびとした美しい音色です。聴く人の心が弾むような楽しさも内包していて……優しくて、あたたかい……素敵な演奏でした。
- クラリス
- ありがとうございます。音葉さんにそう言っていただけてほっとしました。何度も耳にしてきた歌ですから、伴奏も大丈夫そうですね。
- 栗原ネネ
- ええ、とってもお上手でしたよ!クラリスさんのオルガンも、今度聴いてみたいです♪
- 梅木音葉
- ……この子も喜んでいます。ひたむきな心のままに音を奏でる、そんなクラリスさんに弾いてもらえて。
- クラリス
- それはよかったです……♪体育館にこの子がいてよかった。音楽室は、撮影の準備中ですものね。
- 栗原ネネ
- はい。準備をしてくれている、さくらちゃんと美羽ちゃんには感謝しなきゃですね。
音楽室
- 村松さくら
- よいしょっと……お花はこのへんかな?うん、とってもかわいいでえす♪
- 矢口美羽
- ふふっ、なんだか文化祭みたい♪これならきっと、お別れも寂しくないですよねっ!
- 村松さくら
- ニコニコ笑顔でいっぱいの、最高の思い出にしたいもんねぇ♪ よおし、わたしももっと頑張っちゃうよぉ!
体育館
- クラリス
- 今日でこの企画も終わり…… 歌を歌った後は、最後のお別れ会ですね。
- 栗原ネネ
- これで5つ目……最後の学校。全部の学校を回ってきたクラリスさんは、私たち以上に寂しいですよね……。
- クラリス
- ええ……ですが、本当にたくさんの人とふれあうことができて、とても幸せでした。慣れないことをやってみるのも、良い経験になりましたし。
- クラリス
- やっぱり私は、人とふれあうことが好きみたいです。祈りや行いで、笑顔や幸を呼び込むことが、私の幸い……。
- 栗原ネネ
- ……またこんなお仕事がしたいですね。いろんな人と心を通わせて、笑顔で満ちるような。
- 梅木音葉
- ええ。みなさんの色が滲む、それぞれの音を奏で……たったひとつしかないメロディーを、紡ぎましょう。
廊下
- 村松さくら
- あっ!クラリスさんいたあ〜!えへへっ、かくほ〜♪
- 矢口美羽
- お別れ会の準備ができましたから、行きましょうっ!さあさあ!
- クラリス
- え……?お別れ会の準備は、歌の後では……。
- みんな
- クラリス先生、ありがとーーっ!
- クラリス
- ……!これは……?
- 栗原ネネ
- ふふっ……実は、みんなでサプライズの準備をしてたんです。クラリスさんにお礼をしたいって、先生がおっしゃって。そこで美羽ちゃんが、これを思いついたんですよ♪
- 矢口美羽
- ドッキリ大成功!というか、サプライズ大成功!ですが!さあさあ、先生からもコメントを!
- 教師
- はい……!短い間でしたが、素敵な時間と言葉をたくさんいただきました。
- 教師
- クラリスさんのおかげで、残りの時間も……わずかであっても、前を向いて、一分一秒を大切に過ごしていけます。本当に、ありがとうございました。
- クラリス
- ……こちらこそ、ありがとうございます。貴方も、子どもたちも……本当に。今一番幸福を感じているのは、私かもしれませんわね……。
- クラリス
- その絆と、優しい気持ちを胸に、これ からも歩んでください。ひたむきな貴方たちのゆく道に、幸多からんことを……。
- クラリス
- さあ、歌いましょう……一緒に、心の音を重ねて。この歌が、未来への福音となるように。
想いがひとつになった、優しい歌声が響き渡った……