第4話「One world, one family」

※序盤からビジネスパーソンに声を掛けるまでの抜粋

ビジネスパーソンたち
……ったく……いつまで降ってんだか……。……いてっ、誰か足踏んだなっ?
イヴ
街のみなさん、ピリピリしちゃってますね~……。
はい……ちょっと怖いかも……。
ビジネスパーソンたち
次のタクシー、いつ来るのよ……。列もぜんぜん動かないし……。
ビジネスパーソンたち
おい!貸し傘が足りないってどういうことだよ!この雨の中、濡れて帰れっていうのか!?
イヴ
み、みなさ~んっ!な、なかよくしてください~っ!
ビジネスパーソンたち
はぁ……遊びに来てただけの子は、お気楽で羨ましいわ。
イヴ
ああっ、今は変装してたんでした~。え……ええと~。こんなときは、みなさんの顔を見て……じ~っ。
ビジネスパーソンたち
(早く帰って……ひとりでゲームしたい……)
(早く帰って……ひとりで配信を観なきゃ……)
(早く帰って……ひとりでビールと枝豆……)
イヴ
み、みなさん、ほしいものもバラバラです~っ!
イヴさん……すごい……。勇気があって、優しくて……誰かのために動けてる……。
もしいま、街の人たちが、譲りあって想いあって……今のイヴさんみたいに……そう、私と家族みたいになれたら……。きっと、怖くない……。
そんなあったかい世界を願って、私は……。歌ってきたような気もするの……あの冬の日も……。もしかしたら、アイドルになる前から、ずっと……。
でも、歌っても上手くいかなった今……私には……何ができるんだろう……。私には、勇気もアイデアも……なくて……。
もしここに、クラリスさんがいてくれたら……。イヴさんとクラリスさんだったら……勇気と大人の知恵で、なんとかできるのかな……。
でも……クラリスさんはいないんだ……。私が、やらなきゃ……。私と……イヴさんが……ふたりでやるの……!
イヴさんっ!あの、手、つないでください……っ!私も、勇気がほしいから……っ!
イヴ
聖ちゃん……ふふっ、見えました~。聖ちゃんのほしいもの、叶えたい願いが。私たちの力で、みんなをひとつにしたいんですね?
イヴ
じゃあ、それを叶えるのが、サンタクロースの……いいえ~、一緒に叶えるのが、イヴお姉ちゃんの役目ですよね!
イヴさんは、出会ったときから優しくて……。私がひとりでいると、声をかけてくれて……。笑わせてくれて……。
私の知らないことを、たくさん知ってて……。私にない、勇気を持ってて……。その勇気で、私をいつも守ってくれる……。
甘えちゃって、ごめんなさ……ううん、甘えさせてくれてありがとう、イヴお姉ちゃん……♪
イヴ
うふふっ、聖ちゃんのお願いだったら、いつでもどこでも、なーんでも、叶えちゃいますっ!
イヴ
聖ちゃんは、とってもいい子。真っ白な雪みたいに、心に混じりけがなくって、この世界の宝物みたいな子。
イヴ
だから、一緒にいると、守ってあげなきゃって、いつもより勇気が出るの。サンタは、いい子には平等でいないとだめですけど~。
イヴ
妹だったら、みんなに内緒で、特別扱いしちゃってもいいと思いますから~♪
ビジネスパーソン
おいおい、なんで俺が譲んなきゃなんねーんだよ!
ビジネスパーソン
譲れって言ってるんじゃないよ!俺の方が先に並んでたんだから、俺が先にタクシーに乗るのが当然だって言ってるの!
イヴ
「シスターの心」。私たちに「博愛の心」は、まだ難しい言葉なのかもしれません~。でも……。
仲良く姉妹になっちゃって!
そんな私たちにだって、なれちゃうものがある。私たちだからこそ、できることがあるの……!
イヴ
あの~。

以後もう少し続く