—撮影スタジオ—
- クラリス
- いよいよ、写真撮影なのですね……。
[気が進みませんか?]
- クラリス
- そのようなことは……。
- いえ、神に仕える身として、清貧を善しとして生きてきた私が、お化粧を施され、着飾って写真を撮るなど……。このような虚飾、気が咎めないといえば、嘘になります。
- スタッフ
- クラリスさん、撮影準備できました!お願いしまーす!
- クラリス
- ……申し訳ありません、つまらないことを言いました。
- アイドルの道も自分で選んだ道。歌を届けるために、教会のために、必要なことに努力は惜しみません。
- 行ってまいります……。
カメラマンの指示に応え、撮影を終えた……
—数日後—
[これを見て]
- クラリス
- これは……?
[ファンレターです]
- クラリス
- 送り主は……聖歌隊の子どもたち……?
- 子どもA
- おねーさんとっても美人ですごかった!
- 子どもB
- おねーさんみたいになりたい!
特別に、あの子たちだけに宣材写真を見てもらった……
[とても喜んでいましたよ]
- クラリス
- ……こんな風に言ってもらえるなんて……。ああ……目の覚める思いです。
- 神に祈り人の幸せを願うシスターと、踊り歌うことで人を幸せにできるアイドル。その志に、いったい何の違いがありましょう。
- 形式にとらわれて幸福を願う初心を忘れるところでした。
- 誰かを笑顔にするのは喜ばしいこと……。アイドルとは、とても楽しいものなのですね。
- 至らぬ点の多い私ですが、これから誠心誠意努めてまいります。ですからどうか、お導き、よろしくお願いしますね。