メモリアル3

—撮影スタジオ—

クラリス
いよいよ、写真撮影なのですね……。

[気が進みませんか?]

クラリス
そのようなことは……。
いえ、神に仕える身として、清貧を善しとして生きてきた私が、お化粧を施され、着飾って写真を撮るなど……。このような虚飾、気が咎めないといえば、嘘になります。
スタッフ
クラリスさん、撮影準備できました!お願いしまーす!
クラリス
……申し訳ありません、つまらないことを言いました。
アイドルの道も自分で選んだ道。歌を届けるために、教会のために、必要なことに努力は惜しみません。
行ってまいります……。

カメラマンの指示に応え、撮影を終えた……

—数日後—

[これを見て]

クラリス
これは……?

[ファンレターです]

クラリス
送り主は……聖歌隊の子どもたち……?
子どもA
おねーさんとっても美人ですごかった!
子どもB
おねーさんみたいになりたい!

特別に、あの子たちだけに宣材写真を見てもらった……

[とても喜んでいましたよ]

クラリス
……こんな風に言ってもらえるなんて……。ああ……目の覚める思いです。
神に祈り人の幸せを願うシスターと、踊り歌うことで人を幸せにできるアイドル。その志に、いったい何の違いがありましょう。
形式にとらわれて幸福を願う初心を忘れるところでした。
誰かを笑顔にするのは喜ばしいこと……。アイドルとは、とても楽しいものなのですね。
至らぬ点の多い私ですが、これから誠心誠意努めてまいります。ですからどうか、お導き、よろしくお願いしますね。